奨学金の一種と二種の違いについて

第一種と第二種の違いと利用条件、金額について【奨学金】

奨学金とは「学校を通じて」申し込む制度となります。申し込みの前に説明会が必ず開かれますので、学校から案内が来るはずです。

 

日本学生支援機構の奨学金には主に給付型(返さなくてよい)貸与型(返す必要がある)の2種類があります。

 

給付型奨学金は主に住民税非課税世帯(たとえば夫婦と子供1人の世帯だと年収221万円未満、夫婦と子供2人だと年収273万円未満の方)の方を対象とした奨学金です。経済的に厳しい方しか利用できない奨学金です。

 

殆どの方は貸与型を利用することとなります。貸与型には「第一種(無利息)」と「第二種(有利子)」の2種類があります。第二種の利息は上限が年3%となります。大体年1%〜0.5%程度となります。

 

第一種の利用条件は第二種より厳しく「学力基準(高校の全履修科目の平均が3.5以上)」と「家計基準」の2つあり、これを満たしている場合のみ利用が可能です。

 

第一種を利用できない方は第二種を利用することになります。または第一種を利用する場合でも、それだけでは足りない場合は第二種も併用して利用することが可能です。例えば代表的な返還例として以下を挙げておきます。

 

第一種:私立大学で月額5万4千円を4年間借りたケース(自宅通学)
  • 返済総額→259万2千円
  • 毎月の返済額→14,400円
  • 返済年数→15年

 

第二種:月額8万円を4年間借りたケース(年0.5%、固定)
  • 返済総額→404万5295円
  • 毎月の返済額→16,855円
  • 返済年数→20年
  • (元本返済分)→384万円 (利息返済分)→20万5295円

 

その他には「入学時特別増額貸与奨学金」があります。大学に入学するまで(4月7日までに)に、受験料や入学金や教科書代や一人暮らしするには入居のための初期費用が必要です。入学金は国立で約28万円、私立大学で約24万円〜26万円必要です。

 

入学までにかかるお金を後からまかなうのがこの入学時特別増額貸与奨学金になります。通常の奨学金とは別に「入学時に1回だけ」支給される貸与型(返済の必要がある)となります。申し込み時に10万円〜50万円を10万円単位で申請します。利用条件は「4人世帯の給与所得者の場合は年収が400万円以下」もしくは「国の教育ローン審査に落ちた人」が対象となります。

 

通常の奨学金は支給が始まるのが5月以降となります。大学の入学金の多くが「合格が決まってから2週間以内」となっており通常の奨学金では間に合いません。入学金等の支払いまでに振り込まれないのです。

 

ただ、注意点としては、この入学時特別増額貸与奨学金でさえ振り込まれるのが最短で4月下旬となります。入学金の支払いには間に合いません。入学金(約30万円)についてはまずは自分たちでそのお金を用意しておく必要があります。自分たちで支払い、あとからまかなわれるということです。

 

緊急処置として日本政策金融公庫の国の教育ローン(最短でも申し込みをしてから振り込まれるまで20日かかる、年1.8%で上限350万円)を利用する手もありますが、当然審査に落ちることもあります。あとは入学時必要資金融資(ろうきん)という救済制度などもあります。

 

ですが、やはり原則は「入学金は自分たちで予め用意して払わなければいけない」ということです。

 

第一種奨学金

無利息タイプとなります。国立大学で月額2万円〜5万1千円、私立大学で月額2万円〜6万4千円を受け取ることができます。利用条件は「学力基準(高校の全履修科目の平均が3.5以上)」と「家計基準」の2つですが、利用条件を満たしていればすべての人が適用されるわけではありません。第一種だけではまかなえない場合は第二種も併用する必要があります。

 

第二種(利息が付く)奨学金

利息の付くタイプとなります。上限が年3%で、返す時の利息には「利息固定」と「利息見直し(変動)」とがあります。月額2万円〜12万円まで、1万円単位の金額から選ぶことができます。実質的な成績基準はありませんので、家計の収入基準さえオーバーしていなければ利用ができると考えてよいです。現在10人中7人はこの第二種を利用しています。

 

入学時特別増額貸与奨学金

上限50万円までで10万円単位で借りることができます。「入学時に1回だけ」支給される貸与型ですが、振込みが4月下旬以降です。入学金の支払い等は間に合いませんので、その点は注意が必要です。利用条件は「4人世帯の給与所得者の場合は年収が400万円以下」もしくは「国の教育ローン審査に落ちた人」が対象となります。必要な方は予め申し込みをしておく必要があります。

 

では利用条件や借りれる金額などより具体的に次の項では解説していきます。

 

第一種と第二種の利用条件

利用条件ですが、まずは第一種を受けられるかどうか確認し、第一種の条件に合うなら申し込みをします。第一種の条件に合わない場合は第二種を借りるための条件を確認します。併用するケースでも第二種の条件を確認しておきます。

 

第一種の利用条件

日本学生支援機構の公式HPでは以下のようにアナウンスされています。

1.学力基準

次の(1)または(2)のいずれかひとつに該当すること。

 

(1)高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること。
ただし、上記の基準を満たさない場合であっても、生計維持者(原則父母。父母がいない場合は代わって生計を維持している人)の住民税が非課税(市町村民税所得割額が0円)である者、生活保護受給世帯である者または社会的養護を必要とする者(児童養護施設等入所者、里親による養育を受けている者等)であって、次のアまたはイのいずれかに該当する者は、第一種奨学金の学力基準を満たす者として取り扱うことができます。
ア.特定の分野において、特に優れた資質能力を有し、特に優れた学習成績を修める見込みがあること。
イ.学修に意欲があり、特に優れた学習成績を修める見込みがあること。
(2)高等学校卒業程度認定試験合格者であること。

 

2.家計基準
収入・所得の目安はおよそ次の金額以内です。
第一種と第二種奨学金

引用:第一種 日本学生支援機構(https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_1shu/kakei/yoyaku.html)

住民税が非課税の方の場合は第一種を受けることができます。これは前述しましたが住民税が非課税の年収の方は給付型(返さなくてよい)を受けられる可能性があります。

 

その他の方ですが、第一種の利用条件は「学力基準」と「家計基準」の2つとなります。学力基準では1年から申込時まで(高校3年生の5月まで)の成績の平均値が3.5以上(5段階)となります(専門学校の在学採用に限っては平均値が3.2以上と少し緩やかになります)。もし成績が3.5未満の場合は、住民税非課税世帯なら申し込みが可能ですが、それでなければ第一種は受けられません。

 

家計基準ですが、上記におおよその目安ですが、上限の収入が書いてあります。たとえば3人家族(夫と妻と子供)で親がサラリーマンの場合、所得(所得証明書に載っている金額)が657万円以下でしたら受けれる可能性は高いです。

 

基準を満たしていたとしても、予算の関係で必ず採用候補者になれるわけではありません。第一種と第二種の条件に該当するかどうかは進学資金シミュレーター(日本学生支援機構)というアプリケーションで質問に答えると分かります。

 

第二種の利用条件

公式HPでは以下のようにアナウンスされています。

以下の(1)〜(4)のいずれかに該当すること。
(1)高等学校または専修学校(高等課程)における学業成績が平均水準以上と認められる者
(2)特定の分野において特に優れた資質能力を有すると認められる者
(3)進学先の学校における学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められる者
(4)高等学校卒業程度認定試験合格者であること。

引用:進学前(予約採用)の第二種奨学金の学力基準 日本学生支援機構(https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_2shu/gakuryoku/yoyaku.html)

第二種の利用条件ですが学習意欲さえあれば殆どのケースで借りられます。「学力基準」と「家計基準」の2つになります。学力基準は上記の引用で示した通りですが、ポイントは「いずれか」に該当すればよいということです。

 

高校時代の全履修科目の成績が学年平均以上であったり、特定分野で優れた資質能力があったり、大学での学修意欲があったり、などです。ようは「やる気」さえあれば第二種は借りられる可能性は非常に高いです。

 

家計基準さえクリアしていれば審査に落ちることはありません。家計基準ですがおおよその目安は以下の通りです。サラリーマンでしたら年収が約1000万円以下、自営業でしたら年収が約600万円以下であれば家計基準もクリアということになります。
第一種と第二種奨学金

引用:貸与奨学金案内 日本学生支援機構(https://www.jasso.go.jp/shogakukin/moshikomi/yoyaku/tebiki/__icsFiles/afieldfile/2022/03/23/taiyoannai_1.pdf)

これについても上記の進学資金シミュレーターで判断できます。

第一種と第二種の貸与金額

第一種と第二種の貸与金額は以下の通りです。
第一種と第二種奨学金
※私立大学の医学・歯学の課程は4万円増額可能(12万円+4万円=月額16万円)
※私立大学の薬学・獣医学の課程は2万円増額可能(12万円+2万円=月額14万円)

 

第一種で月額2万円〜6万4千円までの貸与が可能です。
第二種は月額2万円〜12万円を1万円単位で選択することができます。

 

日本学生支援機構奨学金の申し込み方法について

日本学生支援機構の奨学金は「学校を通して申し込み」をします。それぞれの学校で説明会が必ずありますので、そこに参加して、詳しい申し込み方法については確認しておく必要があります。

 

高校を通して申し込みをする「2回の予約採用(高校3年生5月〜)」と大学(短大、専門学校)を通して申し込みをする「在学採用(大学1年生4月〜)」の合計で3回、申し込みのタイミングがあります。

 

※それぞれ学校によって申し込み時期、回数が異なるので、必ず自分が通っている高校(在学採用なら大学)で確認を取ってください。

 

それぞれまとめると以下のようになります。

 

1回目の予約採用(給付型、第一種、第二種が対象)

高校3年生の4月に学内で説明会があり、5月〜6月に第1回予約申し込み締め切り、10月〜11月に採用結果が出る

 

2回目の予約採用(第二種のみ対象)

高校3年生の11月頃申し込み締め切り、翌年2月に採用結果が出る

 

3回目在学採用(第一種と第二種が対象)

大学1年生の4月に説明会と申し込み締め切り、5月〜6月に採用結果が出る、6月に奨学金振込み

 

日本学生支援機構の奨学金は高校3年生の4月から取り組む必要があります。

 

それぞれの学校で4月に奨学金説明会の案内が届くはずですから、必ず出席するようにします。その後1回目の申し込みが5月頃にあります。その間に必要書類を集めて記入し、提出物を提出する必要があります。注意点として、給付型もしくは第一種を希望する方はこの時必ず申し込みをするようにします。給付型は1回目の予約採用でしか受け付けていません。

 

第一種については、2回目では受け付けておらず、在学採用では採用枠が少ないです。必ず枠の多い1回目の予約採用時に申し込みをするようにします。
この時点では進学先が決まっていないと思いますが、あとからたとえば第一種を第二種に変更したり、貸与金額を変更したり、キャンセルが可能ですので、給付型もしくは第一種を希望する方は必ず高校3年生の5月に申し込みをするようにします。

 

2回目の予約採用の申し込みは11月頃締め切りとなります。第二種を希望、もしくは併用を希望する方はここで申し込みをします。

 

もし1回目で第一種が不採用になったケースでも在学採用(3回目)で再び申し込みチャンスがあります。ただし注意点として、予約採用で採用されると奨学金の振込みが1年生の5月頃となりますが、在学採用で申し込みをして採用された場合、奨学金の振込みは6月〜7月頃となります。

 

入学金や前期分の授業料については自分たちで用意しておく必要があります。入学金等もまかないたい方は入学時特別増額貸与奨学金を予約採用時に合わせて申し込みをするようにします。