奨学金の「スカラネット」とはどういったものか分かりやすく教えてください
日本学生支援機構(JASOO)が独自に採用している奨学金の申し込みと奨学金の管理システムが「スカラネット」です。
実はこのスカラネットには2種類あり、それによって利用者が混乱をしています。奨学金の申し込み時にだけ使うのが「スカラネット(申込専用ページ)」です。貸与開始から返還終了まで利用できるのが「スカラネットPS(パーソナル)」です。
この2つは利用用途や使用するパスワードが全く別ですので、注意が必要です。IDがわからなくなったや新規登録の方法やログインできないなど、混乱の声が上がっています。今回はこのスカラネットについて詳しく解説していきます。
2種類のスカラネットの違い
スカラネットには申込の時に使うための「スカラネット」と奨学金の利用開始から返還終了時までの奨学金管理のために使う「スカラネットPS(パーソナル)」の2つがあります。この2つは混同しやすいですが別物なので注意が必要です。
2つの違いを図でまとめると以下の通りです。
項目名1 | スカラネット(申込専用) | スカラネットPS |
---|---|---|
URL | https://www.sas.jasso.go.jp/scholarnet/ | https://scholar-ps.sas.jasso.go.jp/mypage/login_open.do |
内容 | 申込時に必ず使う(予約採用は2回使用、在学採用は1回だけ使用) | 奨学金の貸与開始から返還終了まで利用(利用は任意) |
認識番号 |
【申込時】学校から配布されたIDとパスワードを使用 |
自分で任意でIDとパスワードを決めて使用 |
登録に必要な情報 | ― | 奨学生番号・奨学金の振込口座番号・生年月日・氏名・性別 |
手続き時間 | 午前8時 〜 午前1時 | 午前8時 〜 午前1時 |
スカラネットについて
奨学金は学校を通して申し込む制度ですが、学校で申込をした後にあなただけの認識番号(ユーザIDとパスワード)が配布されます。学校での申込を済ませた後にスカラネットにログインして、その配布されたIDとパスワードを入力して、そこでの手続きも完了させる必要があります。
奨学金を申し込むタイミングは合計で3回あります。高校3年生5月(1回目の予約採用)と高校3年生10月頃(2回目の予約採用)と大学1年生5月頃(在学採用)です。この3回のうちどこかで申込をするようにします。
1回目と2回目の予約採用の場合は(高校から申込をした方)、その予約採用時に1回スカラネットを利用します。高校から配布されたIDとパスワードをスカラネットで入力して、そちらの手続きも完了させるのです。そして大学進学時に大学1年生の4月頃に奨学金のガイダンスがあり、その時に再びスカラネットを利用して進学届けを提出します。
進学届けを提出してはじめて貸与が正式決定します。進学時には進学先で新たなIDとパスワードが配布されますのでそれを使用します。あとは採用候補者決定通知【本人保管用】に記載されている進学届提出用パスワードも使用します。予約採用(高校から申込をした方)をした場合は、高校での申し込み時と進学時に合計2回スカラネットを利用することになります。
ようは予約採用時ではまだ進学先が決まっていない状態ですから、予約として申込を行い、採用後に進学先が決定して、その進学先で進学届けを提出してはじめて貸与決定となります。その時々でスカラネットを利用します。
大学1年生5月頃(在学採用)に奨学金の申込をする方はその時に大学を通して奨学金の申し込みを行い、そこでIDとパスワードが配布されるので、すぐにスカラネットにログインして配布されたIDとパスワードを入力し、手続きを完了させます。
これらが申し込み時に使う「スカラネット」になります。説明した通り、学校から配布されたIDとパスワードを使って、申込時にのみ利用するシステムが「スカラネット」です。申込時に必ず利用するものとなります。
スカラネットPS(パーソナル)について
これと「スカラネットPS(パーソナル)」は別物となります。スカラネットPSは貸与が開始してから返還が終了するまで、ずっと使っていくシステムです。
スカラネットPSでは奨学金の情報(貸与額や利息の有無や保証制度や返済期間など)が載っており、それをみれば自分の奨学金の状況がすぐにわかります。
またここから継続願の提出や住所や勤務先の変更や繰り上げ返済などの手続きをすることができます。
スカラネットPSが必要になるのが継続願の提出時(大学1年生12月頃〜)です。原則、継続願の提出はスカラネットPSを登録しないとできませんから、このタイミングで登録することとなります。
一度登録しておけば、奨学金状況や繰り上げ返済(在学中でも)がネット上から簡単にできますから、登録時のIDとパスワード(自分で任意で決める)は忘れずにメモ帳などに保存しておくのが好ましいです。登録しておけば奨学金の状況がリアルタイムで把握できて、ネット上で手続き変更もできて、便利なものですよ、という認識でOKです。
スカラネットとスカラネットPSの違い
2つの違いをまとめると、スカラネットは奨学金申込専用ページのことで、学校から配布されたIDとパスワードを入力してログインし、申込手続きを行います。
スカラネットPSは貸与開始から返還終了まで、奨学金を管理するシステムです。大学1年生12月頃に継続願の提出(翌年も継続して奨学金を利用する方は提出が必須)をしないといけませんが、その時にスカラネットPSが必要になります。登録しておけば奨学金の返還状況やちょっとした手続きがネットからできるので便利です。登録は自分でIDとパスワードを決めて利用することになります。
スカラネットで奨学金の申し込みをする手順について
スカラネットの公式ページは以下の通りです。
https://www.sas.jasso.go.jp/scholarnet/
奨学金は学校を通しての手続きとなりますから、まずは学校で手続きをする必要があります。殆どの学校で高校3年生の4月(在学採用は大学1年生4月)に奨学金説明会があるのでそれに出席し、その後希望者は申込をするという流れです。学校で申込をするとあなた専用のIDとパスワードが配布されるので、スカラネットにログインし、そのIDとパスワードを正しく入力します。学校からIDとパスワードの記載された書類を貰えるはずです。
スカラネットにログインすると重要事項確認 (必須) という項目があり、それをすべて「はい」にします。前述した通り「奨学金の新規申込」と「進学届の提出」があり、予約採用や在学採用ではじめての方は「奨学金の新規申込」をクリックします。
進学届けの方は「進学届の提出」をクリックします。
あとは画面に従って入力をしていきます。すべてを入力してあなたの受付番号と表示されたら完了です。多くのケースで受付番号を下書きに記入してそれを学校に提出するようになっています。年度によってはマイナンバーの提出が必要なケースがあるので確認が必要です。
もし入力ミスをしてしまったケースですが、学校の奨学金窓口(事務)にお問い合わせしてみるとよいです。学校を通しての手続きとなるので、必ず通っている学校の窓口で聞くようにします。
あとはたとえば貸与金額や性別・生年月日や銀行口座についてはあとから変更が可能ですので、そのままでOKです。予約採用時にはまだ進路が決定していないはずですが、もし進学しないケースでは後からキャンセルが可能です。
貸与額を増やしたい場合でも後から変更ができるようになっています。とくに1回目の予約採用(高校3年生5月)では給付型はここでしか申し込めません。
第一種もこのタイミングで申し込まないとチャンスがありません。ですから、貸与額の変更や辞退はあとからできるので、とりあえず申込をすることが大事です。
給付型については貰える奨学金ですから一番高い給付額を選べばよいです。第一種と第二種については特に予約採用の方は現段階ではどのくらい学費がかかるのかわからないはずです。
このケースではとりあえずどれでもよいので金額を選択し、進路が決定して後からいくらでも貸与額を選択し直すことができますし、無料で辞退(キャンセル)することも可能です。入学時特別増額貸与のキャンセルも後から可能です。
スカラネットにIDとパスワードを入力してもログインできない
学校で配布されたあなた専用の認識番号(ユーザーIDとパスワード)を正しく入力する必要があります。全角と半角を間違えていたり、間違って文字を認識して入力していたりです。
たとえば、8(はち)とB(びー)とか、Z(ゼット)と2(に)とか、0(数字のゼロ)とO(英大文字のオー)とか、1(数字のイチ)とl(小文字のエル)とI(大文字のアイ)とか、そのあたりは特に打ち間違えしやすいです。
そもそもスカラネットPSって登録する必要あるの?
スカラネットPSはすぐに登録する必要はありませんが、いずれ必要な手続きのために登録しないといけません。スカラネットPS(パーソナル)は奨学金継続願を提出する時に必要になります。
奨学金継続願とは12月〜翌2月に提出すべき書類で、これを提出しないと来年度の奨学金は給付されなくなります。1年間に1回必ず継続して奨学金を受けるために提出しないといけません。
スカラネットPSは登録しておけば奨学金の状況がわかりますし、奨学金継続願以外にも必要な手続きはすべてネット上でできるようになるので、大学入学後に登録しておいて、登録後はIDとパスワードをメモ帳などに保存しておきて定期的に活用していくとよいです。
自分の奨学金のデータに関するマイページのようなものになります。このスカラネットPSを上手に活用することで無駄なく返済でき完済後に約10万円〜20万円も得することもあります。
スカラネットPSでわかるデータとできることは以下の通りです。
スカラネットPSで閲覧できるマイデータ一覧
貸与中の人 |
・貸与情報
・登録引き落とし口座
・保証情報 |
---|---|
返還中の人 |
・返還情報
・登録引き落とし口座
・保証情報 |
以下のように自分の奨学金の状況が表示されます
スカラネットPSからできることは以下の通りです。
- 「奨学金継続願」の提出(来年度も引き続き奨学金を貸与する人は提出必須)
- 転居改氏名・勤務先(氏名や住所の変更、勤務先の変更)
- 繰上返済の申込(一部繰上げ、全額繰り上げ両方可能)
- 減額返還願・返還期限猶予願(用紙のダウンロードのみ可能)
- 在学猶予・在学猶予期間短縮願い
- 各種証明書発行依頼(奨学金返還証明書や奨学金貸与証明書の発行)
たとえば引っ越しをした時はスカラネットPSから簡単に住所の変更が可能です。住所変更しないと書類が前住所に届いてしまうので。スカラネットPSに登録しておけば今の奨学金状況が一目でわかるようになります。非常に細かくデータがわかるので今どのくらい借りてどのくらい返済できているのか利息はどのくらいなのかハッキリとわかります。
このデータをもとにして賢い返済が可能です。たとえば第二種で機関保証にしている方は利息だけでなく保証料も発生します。この2つは返済期間を短縮すればするほど利息は抑えられ、保証料は完済時に戻ってきます。
ようは特に残高(元本)が大きい時期にこまめにスカラネットPSから繰り上げ返済を行えば、それだけ元本は減り返済期間も短縮されます。結果的に支払い総額は少なくなるのです。特に第二種(機関保証)の方は返済期間通り15年〜20年かけて返済していたのでは支払総額は膨大になります。
たとえば第二種で月額8万円(機関保証)を4年間(年0.5%、固定)借りた場合、返済期間通り20年かけて返済するとトータルで利息で約20万円、保証料で約20万円、合計で40万円も発生してしまうのです。
ですからスカラネットPSにこまめにログインし、今ある貯金と奨学金のデータを見合わせながら、無理のない範囲で繰り上げ返済していくのです。こまめな繰り上げ返済で利息や保証料を半分以下に抑えることも可能です。
1ヵ月に1回データは更新されますが、元本(残高)が目に見えてどんどん減っていくのはとても快感です。スカラネットPSを上手に活用して繰り上げ返済するというのは1つ覚えておいてほしいことです。
ログインするにはIDとパスワード(自分で設定したもの)と奨学生番号が必要です。これらのデータをメモ帳に保存してURLもブックマーク保存しておけばいつでもスマートフォンから簡単にログインが可能です。
奨学金の賢い繰上げ返済の方法については以下をご覧ください。
奨学金繰り上げ返済で得するケースと損するケースについて
スカラネットPSの登録方法は?
登録するには以下の自分の情報を用意しておく必要があります。
- 奨学生番号
- 生年月日
- 氏名
- リレー口座(登録した銀行口座の口座番号と支店番号)
奨学生番号については日本学生支援機構から郵送される書類に書いてあります。リレー口座に登録した銀行口座の情報も必要です。
これらを入力して自分でIDとパスワードを設定すれば登録完了です。あとはIDとパスワードを入力して奨学生番号を記入するとログインできるようになります。もし奨学生番号やリレー口座(どの口座をリレー口座に指定したか)の情報がわからない場合は以下の奨学金返還相談センターに電話をすれば教えてもらえます。
奨学金返還相談センター電話:0570‐666‐301(ナビダイヤル)
月曜〜金曜:8時30分〜20時00分(土日祝日・年末年始を除く)
スカラネットPSの新規登録は以下のURLからです。
https://scholar-ps.sas.jasso.go.jp/mypage/login_open.do