奨学金の保証人の条件

奨学金の保証人の条件と保証人に待ち受ける悲劇について

奨学金の保証人の条件と危険性について

奨学金の人的保証を利用する場合、必ず「連帯保証人」と「保証人」の2人を設定しないといけません。この2人を選任できないと人的保証は利用できないということになります。

 

連帯保証人はもし本人(奨学金を借りた本人)が延滞を怠った場合(長期滞納を続けたり自己破産したり)、その時は連帯保証人が残高分を肩代わりすることになります。債権回収会社から連絡が入り、督促をされ、最終的に「残高に対して月〇万円を〇年かけて分割返済する」という話でお互い合意し、返済していくことになります。

 

もし連帯保証人も支払える状態にない場合は、保証人が肩代わりしないといけません。

 

このように本人が払えない時は連帯保証人へ、連帯保証人が払えない時は保証人へと取り立てが及ぶのです。連帯保証人と保証人の条件ですが、以下の通りとなります。

 

連帯保証人の条件
奨学生本人と連帯して返還の責任を負う人です。原則として「父母」です。

 次の条件すべてに該当する人を選任してください。

 

1.あなた(奨学生本人)が未成年者の場合は、その親権者(親権者がいない場合は未成年後見人)であること。
2.あなた(奨学生本人)が成年者の場合は、その父母。父母がいない等の場合は、あなた(奨学生本人)の兄弟姉妹・おじ・おば等の4親等以内の親族であること。
3.未成年者および学生でないこと。
4.あなた(奨学生本人)の配偶者(婚約者を含む)でないこと。
5.債務整理中(破産等)でないこと。
6.貸与終了時(貸与終了月の末日時点)にあなた(奨学生本人)が満45歳を超える場合、その時点で60歳未満であること。

引用:人的保証制度 日本学生支援機構

連帯保証人は原則、父親もしくは母親のどちらかがなることになります。父親や母親がいない場合は4親等以内の親族がなります。

 

注意点として債務整理をしてブラックリスト入りしている方は連帯保証人になることはできません。もし父親が過去に債務整理をしたり延滞を繰り返してなどして信用情報が傷ついている場合は連帯保証人になれませんから、このケースでは信用情報が傷ついていない母親が連帯保証人になります。

 

保証人の条件
あなた(奨学生本人)と連帯保証人が返還できなくなったときに、あなた(奨学生本人)に代わって返還する人です。原則として「おじ・おば・兄弟姉妹等」です。

 次の条件すべてに該当する人を選任してください。

 

1.あなた(奨学生本人)および連帯保証人と別生計であること。
2.あなた(奨学生本人)の父母を除く、おじ・おば・兄弟姉妹等の4親等以内の親族であること。
3.返還誓約書の誓約日(奨学金の申込日)時点で65歳未満であること。また、返還誓約書の提出後に保証人を変更する場合は、その届出日現在で65歳未満であること。
4.未成年者および学生でないこと。
5.あなた(奨学生本人)または連帯保証人の配偶者(婚約者を含む)でないこと。
6.債務整理中(破産等)でないこと。
7.貸与終了時(貸与終了月の末日時点)にあなた(奨学生本人)が満45歳を超える場合、その時点で60歳未満であること。

引用:人的保証制度 日本学生支援機構

原則、連帯保証人とは別生計(別々の生活をしていること)で、65歳未満の4親等以内の親族(おじ・おば・兄弟姉妹・いとこ等)になってもらう必要があります。
ただし同様に債務整理などで信用情報が傷ついていない人でないと保証人にはなれません。

 

ちなみに知人友人に保証人になってもらうことができるのかですが、このケースでは「4親等以内の成年親族でない人」ということになりますが、「4親等以内の成年親族でない人」に保証人になってもらうには年間収入が給与所得者の場合は320万円以上(給与所得者以外は220万円以上)という条件をクリアしさらに「所得証明書」と「預貯金残高証明書」と「固定資産評価証明書」を提出してもらう必要があります。

 

申込の手順について

日本学生支援機構の奨学金はすべて「学校を通して」申込をするシステムです。高校3年生の4月(在学採用の場合は大学1年生の4月)に必ず奨学金説明会が学校で開かれますので、それに必ず出席します。そして申込方法はすべて学校の指示に従うということになります。

 

こちらで選択するのは、貸与型(第一種か第二種)を利用する場合は、人的保証か機関保証か選択します。

 

人的保証を選択する場合は、連帯保証人と保証人の2人決め、保証人は頼んでなってもらう必要があります。連帯保証人と保証人の必要書類は印鑑登録証明書と所得証明書です。これらは市役所に行って取得してもらう必要があります。あとは返還誓約書に連帯保証人と保証人の自署と押印をしてもらい、それも提出します。

 

身寄りがおらず保証人を頼める人がいない場合は?

人的保証の場合は、問題になるのが「保証人を誰になってもらうか」です。連帯保証人は親御さんがなりますが、もう一人保証人を選任する必要があります。そもそも身寄りがおらず4親等以内の親族で頼める人がいないというケースがあります。また頼んでも断られるケースもあります。

 

奨学金は多額の借金(ローン)ですし、その問題点は連日報道されているので、やはり断られる可能性は十分にあります。

 

友人や遠い親戚など「4親等以内の成年親族でない人」に保証人になってもらうには、年間収入320万円以上という条件を満たしている必要がありますし、さらに所得証明書や印鑑登録証明書や預貯金残高証明書を提出してもらう必要があります。友人にそこまで頼むのは気が引ける人は多いはずです。

 

もし人的保証ができそうにない人は「機関保証」を選択するとよいです。機関保証とは毎月一定額保証料を支払うことで、連帯保証人と保証人を付けなくても奨学金が利用できるシステムです。申し込み時にどちらか選択することになりますから、機関保証を選択すればそれでよいです。

 

もし奨学生本人が返済を怠った時は保証会社が肩代わりをします。そのために月々保証料を支払うのですから。保証料は月額数千円程度となります。保証料は以下の通りです。

 

奨学金の保証料はいくら
たとえば自宅通学の国立大学に通うため第一種の月額4万円を4年間(総額192万円)借りた場合、保証料はトータルで60,576円となります。

 

たとえば自宅通学の私立大学に通うため第二種の月額8万円を4年間(総額384万円)借りた場合、保証料はトータルで206,976円となります。

 

ただしこれにはカラクリがあり、あくまで返済期間通り(15年〜20年)かけて返済した時の保証料となります。たとえば第二種の月額8万円(4年間)は本来なら20年返済となりますが、ボーナスなどまめに繰り上げ返済して10年で完済した場合、半分の約10万円の保証料は完済時に戻ってきます。

 

保証料は返済期間を短縮すれば、その分完済時に戻ってくるようになっているのです。人的保証と機関保証どちらがよいのかと、保証料を安くする方法については以下をご覧ください。

 

機関保証の保証料いくらかかる?保証料を安くする裏技

 

人的保証の危険性とは

今の大学の学費はいくらかかるのかと、大卒であっても高い収入で安定して企業に入れるとは限らないという話をしていきます。今は学費が非常に高騰しています。

 

大学4年間(入学金と学費と大学生活でかかるお金)トータルでいくらかかるのかですが、自宅通学の国立大学(公立大学)で4年間で約250万円、自宅通学の私立大学で約400万円、自宅外通学の国立大学で約650万円、自宅外通学の私立大学だと約800万〜1千万かかります。

 

これほどトータルでお金がかかるのです。これをまかなうのが奨学金です。どの程度は自費で出して、どの程度を奨学金で借りるのか、それぞれ違うと思います。

 

たとえば自宅通学の私立大学で400万円奨学金借りた場合、それを20年かけて分割返済していく必要があります。

 

今は大学を出たとしても高収入で安定した企業に入れる保証はありません。大企業であっても長時間労働低賃金を強いている企業はあります。ブラック企業の存在もあり、働いても働いても手取りは少ないということもあります。そういった中で起こるのが、奨学生本人がうつ病などにかかり返済ができなくなって返済を放置せざるを得なくなったり、行方をくらませたり、無断で自己破産したりなどです。

 

息子とは連絡が取れず、突然奨学金残高分を請求されるケースや本人が自己破産したため連帯保証人が請求されるケースがあるのです。多くのケースで連帯保証人は親に、保証人は4親等以内の誰かに設定していますから、本人が返済を怠るとまずは親に、親までも払えないと、それが保証人(身内に)請求が及びます。

 

このように多額の奨学金は人質が取られているように、どんどん連鎖していきます。親族全体の問題として、多額の奨学金を返済していかなければいけないのです。

 

さらに恐ろしいのは取り立ての方法です。本人が滞納して4ヵ月目で日本学生支援機構からサービサー(債権回収会社)に取り立て業務は委託となります。日本学生支援機構は民間に取り立て業務を委託しているので、滞納が続くと切り替えられます。

 

そこでは信用情報の掲載(ブラックリスト)や給与差し押さえや預金差し押さえや自宅訪問や一括繰上げ請求などされます。さらに延滞金も発生し、返済予定日から延滞した日数分だけ年5%の延滞金が発生します。9ヵ月目の滞納で書留郵便が届き、訴訟されます。これが一括繰上げ請求です。

 

これを奨学生本人が無視すると、最終的に残高分に延滞金と訴訟代が上乗せされた金額が連帯保証人に請求されるのです。民間のやり方で取り立てが及ぶのです。

 

これが人的保証の危険性です。

 

本来国がやることは、将来の子供たちのために、徴収した税金を高等教育(大学など)にどんどん使っていき、大学の学費を安くする、もしくは給付型奨学金(返済の必要のない)を増やして、学生の勉学を援助するのが普通だと思います。それか高卒でもきちんとした企業に就職できるような制度を作ることです。

 

それが現状は、徴収した税金は高等教育には殆ど使われず(教育への公財支出の対GDP比は日本はOECD各国平均5.4%に対して3.6%)貸与型奨学金(ローン、借金)で学生に大学に通わせているのです。さらにまだ無利息ならわかりますが、大部分が第二種で有利子になっています。官僚の天下り先として自分たちのエゴのためだけにどうでもいい私立大学まで設立しているのが現状です。

 

先進国では奨学金というと給付型が一般的だそうです。奨学金で貸与型(ローン)というのはあり得ません。しかも利息付ですので、奨学金ではなく、ただの教育ローンです。金融商品となんら変わりはありません。国民は毎月高い税金を払っているのですから、こういったところにその集めた税金をどんどん使っていくべきだと思います。

 

2017年から給付型奨学金が開始されましたが、これは給付型がそもそも低く、対象は住民税非課税世帯で全体の3%程度しか支給されず、さらに大学の成績が悪いと支給は打ち切りとなり全額返済の必要が出ます。とても表面的な見せかけの対策しか政府は行っていません。

 

人的保証に設定した場合、本人が返済できなくなると、親族を巻き込んでの厳しい取り立てが待っています。

 

こういったことは機関保証にしておけば回避できます。人的保証のリスクを考えると、保証料を支払ってでも機関保証を選んでおいたほうがよいと思います。