奨学金と確定申告について

奨学金に確定申告は必要?控除の対象にすることはできる?

日本学生支援機構の奨学金は確定申告が必要なのか、また控除の対象に入れることはできるのかについて解説します。

 

振り込まれた奨学金については確定申告の必要はある?

日本学生支援機構の奨学金の振込みについてですが、結論から言うと確定申告の必要はありません。

 

日本学生支援機構の奨学金には貸与型(返済の必要があるローン型)と給付型(返済の必要がない)の2種類がありますが、どちらも振り込まれた奨学金については確定申告の必要はありません。

 

まずは貸与型について解説します。貸与型の奨学金についてですが、所得税は課せられません。借金は所得に該当しません。
また贈与税についても奨学金に贈与税は課せられません。借金は贈与に該当しないためです。

 

給付型の奨学金についてですが、所得税については給付されたお金は課せられません。所得税法第九条第一項第十四号で「学資に充てるため給付される金品」は非課税所得と定められています。

 

贈与税については1年間(1月1日〜12月31日まで)に給付された奨学金の合計が110万円以下であれば、贈与税は課されません。
※110万円の基礎控除額を差し引いた金額が課税されるのが暦年課税(贈与税)。

 

日本学生支援機構の給付型奨学金は国立大学(自宅外通学)で月額3万円、私立大学(自宅外通学)で月額4万円の給付です。
最大でも1年間で48万円までの給付しかありません。ですから贈与税に該当することはありません。

 

ようするに、日本学生支援機構から毎月振り込まれる奨学金については、貸与型であろうと、給付型であろうと、確定申告の必要はない、というのが結論になります。

 

毎月返済している奨学金は控除の対象に入れることができる?

結論からいうと毎月返済している(もしくは一括繰り上げ返済した)奨学金については控除に入れることはできません。奨学金はあくまで借金ですので、経費にはなりませんし、奨学金の控除欄は存在しません。控除の対象とはなりません。

 

確定申告で控除に入れれるものは?

毎月返済している奨学金は控除の対象にはなりませんが、たとえば以下のものは控除に入れることができます。

  • 医療費控除…1年間に10万円以上の医療費が発生していれば控除対象になる
  • 社会保険料控除…国民健康保険や国民年金(個人事業主やフリーターの方)
  • 生命保険料控除…生命保険料を支払った場合に受けることができる
  • 配偶者控除…配偶者(妻や夫)の給与収入の総額が103万円以下であれば適用
  • 扶養控除…扶養家族(息子や娘など)の給与収入の総額が103万円以下であれば適用
  • ふるさと納税(ふるさと納税を行っている方のみ)

奨学金が控除の対象にならないことについて思うこと

今の時代、少子高齢化が進んでおり、社会保障費は膨大になっています。そのため、毎月の額面から税金が引かれて、手取りは限られてきます。

 

その手取りから毎月奨学金を返済していくわけです。ですから、せめて奨学金の返済額分を控除の対象に入れることができれば、翌年の税金負担は軽くなるわけですから、少しは生活が楽になると思います。

 

たとえば繰り上げ返済する場合でも、貯金した100万円を繰り上げ返済し、それを確定申告で控除に入れることができれば、税金負担は軽くなり、30万円分は手取りとして戻ってくるはずです。今のご時世、教育費はとても高く、それは奨学金という形で本人負担になっているのですから、せめて控除対象に入るべきだと思います。