給付型奨学金について

日本学生支援機構の給付型奨学金

給付型奨学金の概要

2020年4月から、主に住民税非課税世帯を対象に、「高等教育の修学支援新制度」が始まりました。これは経済的に困窮している家庭や生活保護を受給している家庭に向けた、学費の減免と給付型奨学金(貰える奨学金)の両方を支援する制度になります。

 

条件を満たす家庭を3つの区分に分けて、それぞれに応じて学費が減ったり(安くなったり)、給付金が月額貰えたりします。

 

日本学生支援機構の第一種と第二種の奨学金は借りた分返済が必要ですが、この奨学金は返済の必要がありません。利用条件は主に収入や資産が審査されることになります。

 

申込資格は以下であるとアナウンスされています。

初めて高等学校等(本科)を卒業した年度の末日から申込みを行う日までの期間が2年以内の人
引用:給付金奨学金 案内

高校を卒業してから2年以内に入学した人が対象となります。2年以内に入学した人なら、大学3年生でも申込可能です。

 

給付型奨学金の利用条件

利用条件には学力基準と家計基準の2つがあります。どちらも満たしておく必要があります。

 

学力基準について

学力基準については以下の通りです。

申込時点で次の(1)又は(2)のいずれかに該当する必要があります(該当しない人は採用されません)。
(1)高等学校等における全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること(※1)
(2)将来、社会で自立し、及び活躍する目標をもって、進学しようとする大学等における学修意欲を
有すること(※2)
引用:給付奨学金案内(https://www.jasso.go.jp/shogakukin/moshikomi/yoyaku/tebiki/__icsFiles/afieldfile/2022/03/23/kyuuhuannai_1.pdf)

第一種奨学金(無利息)の場合は評定平均が重要視されますが、「高等教育の修学支援新制度」では成績だけでは判断されず、レポートの提出などで学ぶ意欲が重要視されます。特に重要視されるのが次の家計基準になります。

 

家計基準について

家計基準は収入と資産の2つで判断されます。以下の通りです。

給付型奨学金の家計基準
給付型奨学金の家計基準
引用:給付奨学金案内(https://www.jasso.go.jp/shogakukin/moshikomi/yoyaku/tebiki/__icsFiles/afieldfile/2022/03/23/kyuuhuannai_1.pdf)

 

第一区分が住民税非課税世帯です。第二区分と第三区分がそれに準する世帯となります。家計基準に該当しているのかの調べ方ですが、まず1年間(1月〜12月)の収入を知る必要があります。

 

個人事業主(又はフリーランス)の方は自分で確定申告をしているはずなので、確定申告の控えから所得金額が分かります。
給与所得者(サラリーマン)の場合は翌年1月にかけて会社から「源泉徴収票」が配布されるのでそこで給与収入がわかります。

 

手元にない場合は運転免許所やマイナンバーカードと印鑑を持って市役所役場に行って「所得(課税)証明書」を取得すると、より正確な収入を知ることができます。

 

あとは進学資産シミュレーター(日本学生支援機構)で質問に答えると月額いくら貰えるのかおおよその目安を割り出してくれます。

 

質問に答えてページを進めていくと上記のページに辿り着きます。

 

給付型奨学金の申し込み方法、時期

給付型奨学金(高等教育の修学支援新制度)は学校を通して申込をします。学校が窓口となる、ということです。貸与型奨学金の募集と同時に行われます。学校から説明会の案内が届きますので、そのタイミングを逃さないようにします。主に以下の3種類あります。

 

  • 予約採用…高校3年生の春に在籍している高校を通して申込の予約をします。卒業生も卒業後2年以内でしたら在籍していた学校から申込が可能です。申込時期や回数はそれぞれ高等学校によって異なるので確認が必要です。
  • 在学採用…大学や短大、専門学校に入学してから、その学校を通して申込をします。給付型奨学金は1年生の春と秋の2回募集があります。
  • 家計急変採用…家計の状態が急に変わった場合、住民税情報が反映される前に、いつでも申込が可能です。

 

・具体例
予約採用1回目…高校3年生の4月〜5月に申込を行い、決定通知が10月下旬
予約採用2回目…高校3年生の11月に申込を行い、決定通知が2月

 

給付型奨学金の給付額

高等教育の修学支援新制度では学費減免と月額の給付の2面からのサポートとなります。

 

学費減免

入学金と学費の減免が可能です。減らせる金額は以下の通りです(年額)。

 

1年目にかかる費用(入学金+学費)は、平均が、国立大学約81万円、私立文系大学約116万円、私立理系大学約154万円です。勿論学校によってそれぞれかかる費用が異なるのですが、特に第一区分の国立大学は大部分賄えることがわかります。私立大学でも96万円の減免です(第一区分)。もし足りない場合は後で説明する貸与型を併用する必要があります。

 

注意点としては、別途で学費減免の手続きが必要です。予約採用で採用されると減免の権利を得て、進学届けを提出し、進学先で学費減免手続きの案内がありますので、そこで手続きをします。

 

給付金(月額)

給付額は月額以下の通りです。

給付型奨学金いくら貰える?

自宅外通学の方は賃貸マンションやアパートを借りますが、賃貸契約書のコピーの提出が求められます。自宅外通学が認められた月から月額が切り替わり、差額分がまとめて振り込まれます。

 

学費減免と給付金の2面用意されている理由は、前者は学費の負担を減らすため、後者は学生生活の支援のためです。

 

貸与型との併用について

給付型だけでは足りない場合、貸与型を併用します。貸与型には第一種(無利息)と第二種(利息あり)があります。どちらも返済の必要がある借金です。第一種と併用する場合、以下の利用金額(月額)となります。

給付奨学金と第一種奨学金の併用

大学については第一区分と第二区分は第一種を利用できず、第三区分のみ指定された金額のみ利用ができます。第二種奨学金については金額制限はなく利用できます(月額2万円〜12万円の範囲で1万円単位で選択できます)。

 

給付型と貸与型の申込は同時期に行われるので、予め進学にいくら必要なのか計算して、どのくらい借りるのか計画を立てておく必要があります。

 

給付型奨学金の振込日について

給付型奨学金の振込は予約採用の方で、最短でも入学した月(4月21日)となります。入学の前に奨学金が振り込まれることはありません。それまでにかかるお金(受験費用と入学金)は自分達で用意しておく必要があります。

 

稀に入学金を用意できずに進学できなかったという学生さんがいます。これらのお金は早め早めに用意しておかないと、間に合いません。

 

注意点について

給付型奨学金の採用者は1年間給付を受けた翌年に継続を続けられるかの審査がされます(適格認定)。学業成績と家計の2つが判断材料となります。4つの区分に分けられます。以下の通りです。

 

  • 継続…支給を続けられる
  • 警告…支給は続けられるが学業が向上せずに次回も警告の場合は廃止となる
  • 停止…支給停止となる
  • 廃止…奨学生の資格停止となる

 

警告と廃止になる事柄は以下の通りです。

給付型奨学金の廃止について

停学させられたり、成績不振で留年したり、習得単位数が標準単位数の5割以下だったり、出席率が5割以下だったり、は停止となってしまうので注意が必要です。

 

家計についても、提出マイナンバーをもとにして毎年夏に最新の住民税情報をチェックされ、それによって採用区分が見直されます。注意点としては保護者だけでなく奨学生も対象となります。アルバイトで高額収入を得ると区分に影響が出ることがあります。アルバイトのしすぎには注意が必要です。

 

・参考:給付奨学金案内 日本学生支援機構(https://www.jasso.go.jp/shogakukin/moshikomi/yoyaku/tebiki/__icsFiles/afieldfile/2022/03/23/kyuuhuannai_1.pdf)