保証人がいないと奨学金は借りられない?
日本学生支援機構の奨学金の保証制度について解説します。
奨学金の連帯保証人と保証人はとても重たい責任となります。そのため身寄りがいない人はなかなか保証人を見つけるのは難しいです。JASSOの奨学金では、人的保証にすると、連帯保証人と保証人の2人を選出しないといけません。
奨学生本人が未成年者の場合は連帯保証人が父親か母親に、保証人は生計を別にしている4親等以内の親族(兄弟姉妹・おじ・おば・いとこ等)になってもらう必要があります。4親等以内でない人でも保証人になれますが、一定の基準をクリアしていくつかの必要書類(所得証明書など)を提出してもらう必要があります。
ようは、知人友人に保証人になってもらうには、その友人が一定の収入以上であることが条件で、さらに所得証明書などを提出してもらう必要があるのです。親族ではない方になかなかそこまで頼むのは難しいです。親族や兄弟ならまだしも、友人知人には頼みづらいのが実情です。
あとは父親もしくは母親が過去に債務整理をしたり延滞を繰り返してブラックリスト入りしている場合は、審査の段階ではじかれて連帯保証人になることはできませんから、そういったケースでは人的保証は選択できません(どちらか一方だけブラックリスト入りしているなら信用情報が傷ついていない方の親がなれば問題ないです)。
「保証人がいないとJASSOの奨学金は利用できませんか?」という質問に対しては「機関保証を利用すると保証人がいないても奨学金が利用できる(第一種も第二種もどちらも可)」となります。
むしろ、今の実情を考えると機関保証にしておいた方が安全とも言えます。それらについて詳しく解説していきます。
保証人がいないと奨学金は借りられない?
日本学生支援機構の奨学金を利用する場合、「機関保証」と「人的保証」どちらか選択します。
人的保証は連帯保証人と保証人の2人を設定することで、もし本人が返済を怠った時は連帯保証人が肩代わりをするシステムです。
機関保証は毎月一定額保証料(月額数千円)を支払うことで、もし本人が返済を怠った時は保証会社が肩代わりをしてくれるシステムです。
人的保証を選ぶ場合は連帯保証人と保証人の2人を設定しないといけません(4親等以内の親族)。4親等以内ですから、叔父や叔母、兄弟や姉妹、いとことなります。
機関保証を選ぶ場合は連帯保証人も保証人も不要で利用ができます。
ですから「連帯保証人と保証人を付けられない(いない)場合でも、機関保証を利用すれば問題なく奨学金を利用できます(第一種も第二種もどちらも可)」となります。
というより、今の時代、奨学金を借りて大学を卒業したとしても、収入の高い安定した企業で働けるかはわからない時代です。奨学金で問題になってるのは多額の奨学金を借りたけど就職に失敗したりブラック企業に就職してうつ病となり返済できなくて本人が自己破産をし、その返済が連帯保証人に移るという問題です。
人的保証の場合は本人が長期間滞納を続けて夜逃げしたり自己破産をした場合、延滞金も上乗せされた残高分はすべて連帯保証人に請求がいきます。たとえば連帯保証人を母親、保証人を叔母に設定した場合、本人が払えないとまずは母親に請求が及びます。これを無視していると訴訟を起こされます。
もし母親も払えない状態の場合は保証人である叔母に請求がいきます。このように人的保証で本人が払えなくなると、3世代に渡って奨学金の負の連鎖が続いていくのです。人質を取られているようなものです。
ですから、たとえ身内で保証人になってくれる人がいる場合であっても、機関保証を選んでおいた方がよいケースがあります。機関保証の場合は本人が自己破産をしたり夜逃げした場合、保証会社が肩代わりします。親族に請求は及びません。
機関保証の保証料はいくらかかる?
保証料は大体月額数千円となります。これは貸与期間中に月額で換算され、貸与終了時にトータルでいくらかかるというものです。
具体的には以下の通りです。
第一種:月額500円〜月額2666円
第二種:月額591円〜月額6468円
ちなみにこの保証料は返還期間が短縮すればその分安くなり、完済後にその分が戻ってきます。奨学金は15年〜20年かけて分割返済していくシステムですが、たとえば15年返済のところを繰り上げ返済して5年で完済した場合、10年分返済期間が短縮となりますから、大体2/3は保証料が戻ってくるのです。
機関保証の保証料と人的保証のとんでもない危険性と保証料を安くする方法について詳しくは以下をご覧ください。
連帯保証人は4親等以内じゃないと設定できない?
人的保証は連帯保証人と保証人の2人を選出します。連帯保証人は原則、父母がなりますが、父母がいない場合は4親等以内の親族(兄弟姉妹・おじ・おば等)がなります。
保証人は65歳未満の4親等以内の親族(兄弟姉妹・おじ・おば等)がなります。
ですが、4親等以内の親族ではない人(知人友人や遠い親戚など)でも保証人になれるケースがあります。
「4親等以内の成年親族」でない人、または65歳以上の人が保証人になる場合は以下の書類を提出する必要があります。
「返還を確実に保証できる人」とは、以下(1)〜(3)いずれかの基準に該当し、書類を提出できる人です。(1) 源泉徴収票、確定申告書(控)、所得証明書、年金振込通知書等(☆)
・給与所得者の場合
年間収入≧ 320 万円
・給与所得者以外の場合
[給与所得以外+給与所得の方も含む]
年間所得≧ 220 万円
(☆年金収入は給与として扱う)
(2) 預貯金残高証明書、 固定資産評価証明書 等
預金残高+評価額≧貸与予定総額
(3) (1)と(2)の組み合わせ
(預金残高+評価額)/ 16 年+年間収入≧ 320 万円(※)
(※所得の場合は220 万円)引用:人的保証制度 日本学生支援機構(https://www.jasso.go.jp/shogakukin/moshikomi/houhou/hosho_sentaku/jinteki_hosho.html)
ようするに、給与所得者(サラリーマン)などの場合は年間収入が320万円以上であることが条件で、さらに「所得証明書」と「預貯金残高証明書」と「固定資産評価証明書」を提出してもらう必要があるということです。