【奨学金】機関保証の保証料はいくらかかる?

【奨学金】機関保証の保証料はいくらかかる?人的保証の危険性について

人的保証と機関保証の概要

人的保証とは連帯保証人と保証人の2人を付けることで申込ができる制度で、保証料が発生しない代わりに、もし本人が返済できなくなった時(長期間滞納を続けて払わなかったり自己破産したり)は連帯保証人や保証人が残高分を肩代わりをする制度です。最初は連帯保証人に督促が届き、連帯保証人が払えない場合は保証人に督促が届きます。

 

連帯保証人と保証人の2人を選任しないといけないので、親族の中から(親や兄弟やいとこなど)誰かなってもらわないといけません。その際、所得証明書と印鑑が必要です。

 

機関保証とは、毎月一定額保証料を支払うことで、もし本人が支払えなくなった時(長期滞納や自己破産など)は保証会社が肩代わりをする制度となります。
連帯保証人不要で利用することができます。

 

それぞれで一長一短があります。人的保証は保証料が発生しないので、奨学金の返済総額は少なくて済みます。ただし本人が自己破産したり行方不明になった時は連帯保証人に請求が及ぶのです。もし連帯保証人も支払えない場合は保証人に請求が及びます。

 

世間で話題になっているのが、奨学金の自己破産で、連帯保証人を家族に設定している場合、多額の奨学金が家族に移動します。自己破産をしても連帯保証人と保証人への請求は免れることができないため、家族を巻き込んで奨学金地獄に陥るのです。

 

機関保証はそういったリスクはありません。毎月一定額保証料を支払えば連帯保証人不要で借りることができます保証料はだいたい月額数千円となります。

 

機関保証で保証料はいくらかかる?

保証料の目安としては借金総額の約5%です。ケース別では以下の通りです。

 

第一種:月額500円〜月額2666円
第二種:月額591円〜月額6468円

 

ケース別の保証料一覧
貸与額 保証料
第一種(月額2万円を4年間) 月額500円(トータルで24000円)
第一種(月額4万円を4年間) 月額1262円(トータルで60576円)
第一種(月額6万4千円を4年間) 月額2666円(トータルで127968円)
第二種(月額2万円を4年間) 月額591円(トータルで28368円)
第二種(月額4万円を4年間) 月額1494円(トータルで71712円)
第二種(月額6万円を4年間) 月額2682円(トータルで128736円)
第二種(月額8万円を4年間) 月額4312円(トータルで206976円)
第二種(月額12万円を4年間) 月額6468円(トータルで310464円)

※奨学金貸与・返還シミュレーション(JASSO)より作成

 

ちなみにこの保証料ですが、大学卒業後の返済が始まる時は、元本とトータルの保証料が含まれた数値が返還総額として表示されます。これはたとえば15年返済の場合は15年かけて返済した場合の金額となります。

 

もし返済期間を短縮すれば、その分だけ完済後に保証料が戻ってきます。日本学生支援機構では以下のようにアナウンスされています。

「全額繰上返還をして、返還期間が短縮されたとき」「一部繰上返還をして、返還期間が短縮され、返還が完了したとき」には支払われた保証料の一部を保証機関(協会)からお返しする場合があります。

実際にJASSOにお問い合わせをしてみましたが、実際に返済期間を短縮して繰り上げ返済、一括繰上げ返済した場合、保証料が戻ってくる(指定した口座に振り込まれる)とのことでした。

 

たとえば月額4万円(4年間)の第二種を借りた場合、保証料と合わせた返済総額は1991712円です。これをもし在学中にコツコツ貯金して200万円貯め、卒業後に繰り上げ一括返済した場合、返済期間は0ヵ月(大幅の短縮)となりますから、トータルの保証料71712円は丸々戻ってきます。

 

このように保証料は一定額かかるものですが、繰り上げ返済して返済期間を短縮するとその分は完済後に戻ってくるので、そういった賢い返済がおすすめです。

 

人的保証を選んだ場合の最大のリスクとは?

人的保証を選んだ場合の最大のリスクですが、前述した通り、もし本人が自己破産したり返済を怠った場合は連帯保証人に被害が及ぶことです。
これは最近問題になっているケースで、書籍のブラック奨学金では以下のように記されています。

 

事例3:連帯保証人が突然訴えられた事例

東京都内に住むDさんは2016年4月に簡易裁判所から支払督促申立てを受け取った。しかしそもそも奨学金を借りたのはDさんではなく、Eさん(娘さん)であった。

 

Eさんは入学金の支払いに充てるため、50万円をJASSOから借りた。そして、入学時から43カ月間で月額5万4千円を無利子で、月額12万円を年0.91%の有利子で借りた。借りた奨学金の総額は798万2000円にのぼる。

 

卒業後のひと月あたりの返還額は合わせて3万5577円である。しかしEさんは14年5月から返済が滞ってしまったため、JASSOは一括返還を求める通知を送った。総額813万4900円を一括で払うよう求めたが、Eさんは当然支払うことはできなかった。

 

その結果Eさんの連帯保証人になっていたDさんにも支払督促申立てが届いた。最終的にDさんがJASSOと交わした和解文章では、元金総額798万2千円、利息11万9521縁、延滞金17万5111円、支払督促申立て手続費用2万3630円の総額830万262円の返済義務がDさんにあると確認されている。

 

最初の2年間は月1万円ずつ、次の8年間は月3万5000円ずつ、最後の10年間は月4万円ずつ返済することでJASSOと約束した

引用:「ブラック奨学金」(文集新書)P89

上記の例は人的保証にして、本人が行方不明になったため、連帯保証人が訴訟を起こされ、最終的に利息と高い延滞金(年5%)と申立て費用を合わせた金額の請求をされた事例です。最終的に20年かけてすべて返済してくださいという内容になっています。

 

今の時代「大学を卒業したとしても高い収入・安定した企業に就職できるとはわからない」という時代になっています。経済が成熟しており、経済が成長するという前提がないため、年功序列も終身雇用もありません。

 

企業はどこか犠牲にしても利益を出さないと競争に勝てません。その結果サービスを複雑化して情報弱者を騙してお金を稼いだり、長時間労働低賃金を強いて、労働者を犠牲にして利益を生み出しています。

 

これがいわゆるブラック企業です。たとえば高い奨学金を借りて大学にいって就職しても、就職先がブラック企業で離職するというケースはあるのです。このようにしてもし本人が払えなくなったり自己破産をしたりすると、払えていない分の奨学金はすべて連帯保証人に請求が及びます。

 

人的保証にはそういったリスクがあるのです。たとえば連帯保証人を母親、保証人を叔母に設定した場合、本人が自己破産をすると、その請求は母親に向かいます。母親も払えない場合、最終的に叔母に請求が及びます。このように3世代に渡って借金の負の連鎖が続いていくのです。

 

人的保証と機関保証どちらを選べばよいの?

これまで両者のメリットとデメリットを紹介しました。どちらを選べばよいのかですが、私個人の考えになってしまいますが、機関保証がおすすめです。

 

機関保証はもしものことがあれば保証会社が肩代わりとなります。保証料ですが、4年間トータルで発生しますが、これは卒業後、返済期間を短縮すれば、その分戻ってきます。

 

ですから機関保証を選択し、在学中などこまめに貯金をしてお金を貯め、また社会に出てからもボーナス時などこまめに繰り上げ返済をすれば、その分返済期間は短縮となります。

 

そのようにすれば保証料もさほど高くはなりません。私は機関保証を選び、20年返済のところを5年間で完済し(第二種の月額8万円)、実際に15万円ほど保証料の払い戻しがありました。